「プラごみ」95%再生を実現 カナダ注目ベンチャー、今春にも日本上陸

 
カナダのベンチャー企業、パイロウェーブの廃プラスチック再生装置(同社提供・共同)

 廃プラスチック再生の研究開発が活発なカナダのベンチャー企業が、今春にも日本向け事業に乗り出す。食品トレーなどポリスチレンと呼ばれる樹脂から作られたプラ製品で、約95%の再生利用を実現する画期的技術を持つという。事業が軌道に乗れば、資源循環の仕組みを大きく変える可能性もあり注目される。

 この企業は2014年に設立されたパイロウェーブ。強力な電磁波で廃プラを加熱処理し、原料のスチレンモノマーを抽出する装置を開発した。電磁波による加熱の原理は、電子レンジなどに応用されている。

 プラごみによる海洋汚染が世界的に問題になる中、昨年夏に複数の日本企業から提携の打診があり、詰めの協議中だ。

 日本は消費者のリサイクル意識が高く、インフラも整っている。ただ毎年出る約900万トンの廃プラのうち、発電など焼却したエネルギーを使う「熱回収」が約6割を占め、再び資源として使う「再生利用」は約2割にとどまっている。

 ジョセリン・デュセ最高経営責任者(CEO)は「日本企業の技術や知見は世界最高水準で、市場としても最優先だ」と強調した。十分な量の廃プラを確保できるかどうかなどが課題になる。

 カナダは、政府の積極支援などを受け、リサイクル関連の有望なベンチャーが多いとされる。(ニューヨーク 共同)