「婚姻届」も登場、乙女心をつかむ恋愛ゲーム 海外向けにキャラの設定も

 

 「恋人」は戦国武将-。多彩な男性キャラクターが登場するスマートフォンの恋愛ゲームアプリが大人の“乙女心”をつかんでいる。手軽にできるドラマのような疑似恋愛が、国内外の女性たちの心を癒やしている。現実世界で、お気に入りの登場人物と「結婚」できるイベントまで登場。現代の新しい恋愛の形となっている。

 「京になんか行くな」

 スマホの画面に金髪の男性キャラクターのせりふが表示されると、千葉県の女性販売員(31)は「かっこいい…」と顔をほころばせた。イケメンの正体は「タヌキおやじ」のあだ名で知られる徳川家康。ゲーム会社、ボルテージ(東京)の戦国時代を舞台にしたゲームアプリ「天下統一恋の乱 Love Ballad」のワンシーンだ。女性は「家康様のクールだけど優しい『ツンデレ』なところが好き」と話す。

戦国武将と「恋人」になれるゲームの一場面。画面はイケメンキャラクターの「徳川家康」

 ゲームは自分が女性主人公となり、会話や行動を選択しながら、少女漫画を読んでいるような感覚で物語が進む。他にも明智光秀ら10人以上の戦国武将たちと疑似恋愛ができる。ただし相手の心をつかむためには課金が必要な場合もある。

 女性も1日数万円課金することがあるが、平成30年に結婚した中学校の同級生だった夫は理解を示してくれる。「夫は優しい人。ゲームの中の『恋人』への愛情は別次元のもの」としつつ「たくさんの恋愛相手がいて、人生を何倍も楽しめている気がする」と笑う。

 ボルテージは18年に携帯電話向けの恋愛ゲームを配信して以来、100タイトル以上を発表している。

 東奈々子副社長は「専用のゲーム機がなくても気軽にプレーできるようになって、20~40代の働く女性や主婦にも広がった」と解説する。

 昨年は同社のさまざまなゲームに登場するキャラクターと有料で「婚姻届」を出せる企画を実施した。岡山県に住む独身の女性公務員(43)は、武将や貴族など複数のキャラクターとの婚姻届を計10枚購入した。「現実の恋愛はうまくいかず傷つく。ゲームなら二股や三股も許されるし、失敗しても、やり直せる」

 恋愛ゲームアプリは海外でも女性の心をつかみ始めている。

恋愛ゲームをテーマにしたカフェで楽しむ女性たち

 NTTソルマーレ(大阪市)は、北米を中心に160カ国以上で配信。外国人スタッフの意見を作品に反映している。たとえば、北米では合意のない恋愛は嫌悪されるため、少女漫画のような強引に口説く設定は避ける。細身のキャラクターが一般的な日本とは異なり、背が高く体格のいい男性の人気が高いのも特徴だ。

 同社の担当者は「ゲームやアニメなど、日本の『オタク文化』は海外でも広がりを見せている。世界中をときめかせる作品を提供したい」と意気込む。