静岡活躍企業 ミズ・バラエティー 栗田佳幸社長 個人に最適なサプリ提供で脚光
管理栄養士が健康状態などを聞き、個人に最適化されたサプリメントを提供する事業などで注目を集めるミズ・バラエティー。株主などさまざまなステークホルダー(利害関係者)との調和を大切に事業発展を目指す栗田佳幸社長(54)に企業経営への思いや今後の事業展開を聞いた。(那須慎一)
--経営理念は
「『一人一人が幸せになることである。一人一人とは、顧客であり仕入れ先であり家族であり従業員であり自分である。自分が社会の中で生きていることを認識し、一人一人が幸せになることを願い、自己の潜在能力を信じ、人の幸せに貢献したいと願い、そして貢献できたとき、社会は自分を生かし、自分の幸せは最大限化される』。この理念でいう幸せは、心を高めるための努力や自分の成長なくして到達できない幸せのことを指します。社会は自分を生かし、自分の幸せは最大限化されます。会社は、一人一人が成長して、人のお役に立てるようになり、それをもって報酬を得るための実践道場であると考えます」
--現在注力している事業内容や主なターゲットは
「主に管理栄養士が個人の健康状態や生活習慣を聞き、その個人に最適化したサプリメントを提供するための『デザインサプリ』というヘルスケア事業に注力しています。当社でサプリの製造を担当し、子会社のデザインサプリ(富士市)が販売します。主なターゲットはドラッグストアで、県内大手の杏林堂薬局などと一緒に取り組ませていただいています。当社が培った、サプリの製造や個人情報のセキュリティー管理、小口配送を生かした新事業で、徐々に売り上げを増やしています」
--今に至る苦労や思いは
「仕事をしていく中で、特に感じていることは、自力でできることは極めて限定的だという事実です。他人とつながり、他社とつながり、地域とつながることで、初めて事業に生命が吹き込まれていきます。それが理解できるまでに、本当にたくさんの失敗をしてきました。現代は、売り上げや利益だけでなく、さまざまなステークホルダーとの調和が必要です。心から相手のこと、社会のこと、環境のことを大切にしなければなりません」
--足元の課題は
「本当の意味で社員や地域、環境と調和できなければ、会社が存在することは不可能で、社長を起点としながら全社員の心や概念を変えていく(成長させていく)必要があります。おかげさまで、売り上げと利益は順調に伸長していますが、ステークホルダーとの調和ができなければ早晩当社の成長は止まります。私を含めたすべての取締役や社員の考え方を本当の意味で変容させていくことが大切です」
--新たに取り組みたい事業などは
「今後、人間に焦点を当てた事業をしたいと思っています。ハードでもソフトでも安心できる環境を整え、モチベーションを高く維持できる状態を作り、一人の職能を具体的に高め、その人間自身が幸福感を得ることができ、しかも、社会的な価値が高まる仕組みを作りたいです」
--具体的な構想は
「『外国人研修生受入事業』です。今後、外国人研修生が大挙して訪日すると思います。当社も外国人研修生の受け入れを中期計画で決定し、ほぼ現場の環境は整いました。さらなる課題として、安心できる生活環境をどうしたら作れるかを考え、富士市内の労務士とともに『富士山メソッド構想』を立ち上げました。外国人労働者が地域で孤立している現状があり、人手不足の問題だけでなく、外国人労働者の孤立化を解決するために『富士山の麓でみんなが幸せになる』ことを目指しています。3月には具体化するため、『富士山プロジェクト』を発足しました。富士市をはじめ、地域や地元の企業群が一体となって取り組める事業にしていきたいですね」
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●会社概要
・本社所在地:富士市今泉383の5
・設立:昭和51年7月29日
・資本金:9500万円(令和2年2月現在)
・事業内容:物流サービス業務(通販発送代行)、クリーンルームでの化粧品・医薬部外品・医療機器・健康食品などの製造業務
・従業員数:253人(パート含む、令和2年2月現在)
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くりた・よしゆき
・生年月日:昭和41年2月9日
・最終学歴:成蹊大法卒
・主な職歴:平成2年、ヤオハンジャパン入社。5年ミズ・バラエティー入社、8年に現職就任。30年、子会社のデザインサプリ社長就任。
・主な受賞歴など:公益社団法人静岡県国際経済振興会業務推進幹事、静岡・イノベーティブ・ベンチャー・クラブ(SIVC)会長などを務める。特技は空手道。富士市出身。
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