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使い捨てカーテン注文殺到 コロナ感染予防に医療向け増産

 新潟市で衛生用品の製造・販売を手掛ける「リリー」が開発した使い捨てカーテンの注文が殺到している。新型コロナウイルスの感染対策の一環として、購入を希望する医療機関が相次いでいるためだ。同社は急遽(きゅうきょ)、担当者を増やし、増産に乗り出している。

 「医療用のマスクや手袋は使い捨てがあるのに、なぜカーテンはないんだろうね」。開発のきっかけは約5年前、取引先の新潟市内の病院で看護師長が投げ掛けた一言だった。これまで病院の診察室のカーテンは血液やくしゃみのしぶきなどが付いたら、クリーニングに出して繰り返し使うのが一般的だった。

 同社の担当者は「使い捨てのカーテンを作れば、きっと感染症の予防にも役立つ」と考え、試作品を持って何度も病院に足を運び、意見を聞きながら使い捨てカーテンを完成させた。

 今年2月中旬、横浜市で開かれた日本環境感染学会の総会・学術集会に展示すると、医療機関の関係者から「もっと詳しく知りたい」「案内を送ってほしい」などの声が数多く寄せられた。その後注文が相次ぎ、3月に製造したカーテンは1500枚。2月までは月平均100枚ほどだったので15倍に達した。

 新潟市の自社工場で製造し、サイズは医療機関の希望に沿ってオーダーメードで対応する。価格を抑えるため、従来品に比べて薄くて軽いポリエステルの不織布を使用。上部をメッシュ素材にして、下半分だけ交換できるように工夫した。

 標準サイズの幅2メートル、高さ1.75メートルで3000円程度。消防法に完全対応するため、日本防炎協会の認定を取得した。特許も出願中だ。相場一明社長(43)は「病院だけでなく、福祉施設などでも幅広く普及を図っていきたい」と話している。