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茨城の授乳服メーカーが布マスク生産 ネット販売が完売、増産へ

 茨城県つくば市梅園の授乳服メーカー「モーハウス」(光畑由佳社長)は、新型コロナウイルスの感染拡大によるマスク不足で困っている子育て中の母親らの不安解消のため、繰り返し利用可能な布マスクの製造に乗り出した。授乳服用の布地を使って今月末までにひとまず大人用と子供用の計1万2千枚を生産し、県内外の需要に応えていく計画だ。(谷島英里子)

 同社は平成9年に創業。日本で販売される全アパレル製品のほとんどが海外で生産される中、国内の高い縫製技術にこだわり、県内外の6工場で授乳服やインナーを製造している。

 今回、マスク製造に踏み切ったのはウイルスの感染拡大により、子育て中の母親らから「どこにもマスクを売っていない」「布やゴムひもが手に入らず、手作りもできない」といった声が多く寄せられたことがきっかけだった。また、授乳服の製造過程で大量に生じる布地の端切れや、生産調整で余った生地を活用できる利点もあった。

 このため、3月中から準備を開始。4月10日から授乳服を製造していた4つの契約工場のうち、3工場のラインを布マスク製造用へと切り替えた。手始めに同月末、自社オンラインショップで販売すると、用意した150枚が30分で完売したという。

 素材に授乳服の布地を使用したマスクは肌に優しく、高い縫製技術によって口元も立体的で呼吸がしやすく仕上がっている。またマスクに使うゴムひもには授乳服の製造で使うゴムを流用し、自分で結ぶ形で長さを調整できる。子供サイズのマスクは顔へ着けるとき、迷わないよう上下どちらでも着用可能にするなど授乳服メーカーらしい配慮も施されている。

 布マスクのサイズは大人用(M、L)と子供用の3種。いずれも洗って繰り返し使用でき、価格は税込み1枚990円。生産が軌道へ乗り次第、販売される。同社のホームページからオンラインショップの会員へ登録すれば子育て中の人に限らず、だれでも1家族で最大5枚まで注文できる。

 またマスクの製造工場がある茨城県境町と同社は、町内の妊婦へ授乳服などを贈る子育て支援協定を締結。こうした縁から境町へふるさと納税で1万円以上を寄付すれば、希望者に返礼品としてマスク7枚(Lサイズ)が届く。

 同社の担当者、岩城尚子さん(40)は「マスクを本当に必要とする方に届けたい。特に子育て中の母親の新型コロナに対する不安が少しでも解消できたら」と話す。問い合わせは0120・60・7760(モーハウス)。