「赤」ばかりじゃない特殊郵便ポスト 白や金箔も
灘(神戸市)や伏見(京都市)と合わせて「日本三大酒蔵」の一つとされる広島の「西条」(同県東広島市)。酒蔵が並ぶ通りに「白いポスト」が出現した。ポストといえば赤色が一般的だが、同県内約4800本のポストのうち、こうした特殊ポストは計7本あるという。
お披露目が中止に
JR西条駅から徒歩数分にある西条酒蔵通り。「賀茂鶴」「福美人」などの酒蔵が並び、古き良きまち並みを楽しむことができる。そんな通り沿いにある西条本町歴史広場に、白いポストがある。
正面の投函(とうかん)口の下部に同市の観光マスコット「のん太」が顔をのぞかせ、側面には情緒あふれる酒蔵の壁や一升瓶が描かれている。白色は、酒蔵の白い壁をイメージしてデザインされたという。
市観光振興課によると、昨年7月に日本郵便と包括提携協定を結んだ際、そのなかに観光振興を含んでいたことから、酒蔵通りの雰囲気にマッチしたポスト設置を企画。デザインを公募した結果、中国在住のグラフィックデザイナー、羅文亮さんの作品が選ばれた。
このポストは今年3月に設置されたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で式典などは中止となり、ひっそりとしたデビューとなった。
ポスト設置に携わった河戸(こうど)郵便局の源康正局長は「赤一色ではないポストは『特殊ポスト』と呼ばれています。多くは自治体の協力があって、弊社に寄贈という形で設置されています」と説明する。
けん玉、金色の花…
日本郵便(東京)によると、こうした特別なデザインを施した「特殊ポスト」は全国にある。源局長によると、広島県内には特殊ポストはわずか7つしかないという。
「よく知られているのは、JR廿日市駅前にある『けん玉ポスト』です」と源局長がいうのは、けん玉をモチーフにした幾何学模様が何カ所かに描かれている真っ赤なポスト。同県廿日市市はけん玉発祥の地として知られており、駅前通りは「けん玉商店街」と愛称がつけられている。
造幣局広島支局に通じる「コイン通り商店街」(広島市佐伯区)には、金色の花が描かれたポストが2つ。商店街にある安芸五日市郵便局に、投函口の下に金色の彩色が施されたポストが、離れた場所には一回り小さい同様のデザインが施されたポストが、それぞれある。造幣局広島支局に通じることから、「金持ちの神様に会える」というコンセプトのもとに金箔(きんぱく)をはって設置したという。
これら3つのポストは、ベースが赤色だったのですぐに「ポスト」だと分かったが、「残る3つは一目で郵便ポストとは気づかないと思いますよ」と源局長。
平和記念都市を象徴
3つのうち、世界遺産・宮島にある宮島郵便局(同県廿日市市)には、「書状集箱」と書かれた黒いポストが置かれている。明治4(1871)年に郵便事業が始まった際に使われた初代ポストを再現したもので、広島県竹原市の町並み保存地区(重要伝統的建造物群保存地区)内にある竹原初代郵便局跡前にも同様のポストがあった。いずれも、歴史と文化にふさわしいまち並みに合わせて設置されたものだ。
最後の一つは、平和記念公園(広島市中区)前に置かれている「平和記念ポスト」。御影石でつくられたポストの上に青銅製の像が飾られている。投函口の下には「郵便は世界を結ぶ」との文字が書かれていた。このポストは昭和27年、市で開催された郵便友の会全国大会を機に設置されたもので、平和記念都市を象徴したポストという。
広島県内では7つの特殊ポストを確認したが、日本郵便は「全国に特殊ポストがいくつあるか公表していない」としている。