関西経済、インバウンド依存で打撃増幅 休業要請解除も回復不透明
令和2年1~3月期GDP速報値は2四半期連続のマイナス成長に沈み、新型コロナウイルスによる打撃の深刻さを浮き彫りにした。特に関西経済は、訪日外国人客(インバウンド)消費などへの依存度が高く、世界経済悪化の影響がほかの地域より大きい。足元では大阪府による休業要請の大幅解除といった“朗報”もあるが、すぐ回復に結びつくかは不透明だ。(黒川信雄、山本考志)
「今さら国内客を相手に商売をしようとは思わない。大阪在住の外国人向けに営業を続けてきたが、店は昨日、休業させた」
イスラム教徒でも食べられる食材で日本食を提供し、東南アジアからの旅行者の人気を博していた市内のレストラン経営者は4月、こう力なく語った。
「令和元年版観光白書」によると、旅行者が買い物や宿泊などに使う金額のうち、インバウンドが占める比率は、大阪府が46・2%で、東京都(44・8%)を抑え、全都道府県で最も高い。新型コロナによるインバウンド消滅でサービス、小売業は壊滅的な打撃を受け、3月、市内の主要百貨店の売上高は前年より最大で6割超、落ちた。京都、神戸など、ほかの主要な都市も同じ傾向だ。
関西の製造業も部品調達などで中国への依存度が高く、影響は深刻化している。中国での感染拡大を受け、大阪商工会議所が2月に行った緊急調査では、中小の製造業から「発注した製品が入ってこない」との悲鳴が上がった。大手もパナソニックやシャープが、3月期の業績予想の下方修正を余儀なくされている。
明るい動きも出てはいる。政府は5月14日、全国39県で緊急事態宣言を解除。対象外の大阪府、京都府、兵庫県でも16日、事業者への休業要請を大幅に解除した。
ただ、関西企業からは、「歓迎したいが、宣言解除ですべてが元通り動きだすわけでない」(近鉄グループホールディングス)「感染の第2波、第3波という懸念もある」(阪急阪神ホールディングス)と、慎重な見方が相次ぐ。
アジア太平洋研究所(APIR)の稲田義久研究統括は、4~6月期のGDP成長率を「年率マイナス20%を超えるのでは」と予測し、回復は「緩やかなU字型」にならざるを得ないと話した。
今後の回復のカギを握るのは、観光・製造業を中国に頼り過ぎる経済構造を変革できるかだ。5月12日、関西経済同友会の新代表幹事に選任された日本生命保険の古市健副会長は、「持続的な発展のため、(投資などの)分散を考えるべきだ」と苦言を呈した。
ただ、「中国の回復をみながらどう手を打つかが重要」(ダイキンの十(と)河(がわ)政則社長)など、製造業の中国に対する期待の声は早くも高まっている。“中国偏重”の解消が、どこまで進むかは分からない。
古市氏は「2025年の大阪・関西万博を活用し、反転の流れを生み出したい」とも述べ、万博をコロナ後の経済成長の軸に据える考えを示した。
だが、新型コロナで今年のドバイ万博の開催は延期され、参加国誘致など日本の準備も遅れている。今後、万博を成長の起爆剤とすることにも大きな壁が立ちはだかっている。