新たな日常、業界も手探り 新型コロナ感染防止対策の指針
経済活動の再開に向け、産業界では新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎながら、事業を運営するための指針(ガイドライン)を各業界団体などがまとめた。西村康稔経済再生担当相は21日、新型コロナをめぐる諮問委員会で、ガイドライン作成が100件を超えたことを明らかにした。コロナとの長期戦も視野に入れ、休業要請が緩和された地域でも再度の感染拡大が起きないよう、各業界ともヒト同士の接触を極力減らすための工夫を凝らす。
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<交通機関>適切な換気、従業員の体調確認
鉄道では、空調装置の作動や窓を開けることで車両や駅構内を適切に換気する。換気の状況について、車内や駅構内での放送を通じて利用者に周知する。また放送では、マスクの着用やテレワーク・時差出勤の利用も呼びかける。不特定多数が接触する手すりやつり革、券売機などは利用頻度に応じて定期的に消毒する。
バスは、乗客にできるだけ後方の座席に座るよう要請する。
バスとタクシーは、運転者を含む従業員に対して、可能な限り、朝夕2回、体温を測定した上で、その結果や症状の有無を報告させ、発熱やせきなどの症状がある者は自宅待機とする。車内の座席、手すり、防護スクリーンなど乗務員や不特定多数の利用者が頻繁に触れる箇所はこまめに消毒する。
タクシーは、運転に支障がない場合、運転席と後部座席の間などに防護スクリーンを設置する。
航空業界は、機内で乗客に会話をなるべく控えるよう呼びかけ、マスク着用を要請する。
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<小売り>レジ前に仕切り、試食販売中止
百貨店やスーパー、コンビニエンスストアなど小売業界12団体は、不特定多数の来店客が店舗内を移動し、買い物カートなどを共有するなどの特性を念頭に、各事業者がこれまで実施してきた参考にすべき取り組みをまとめた。
スーパーのレジ前や袋詰めする台、百貨店やショッピングモールのエレベーターではヒト同士の距離を確保するため、床に目印を付けるほか掲示・アナウンスを実施。
スーパーの買い物かごやカートのハンドル、タッチ式案内パネルなどは定期的に消毒する。
また、従業員と来店客の接触機会を減らすため、レジ前の仕切り設置やキャッシュレス決済を促進。食料品の試食販売を中止する。
スーパーの総菜売り場などでは、来店客が自分で取り分ける販売方法をやめ、パックや袋詰め販売に変更する。
<外食>相席を避け、なるべく横並びに
まず、店舗入り口には発熱やせきなど異常が認められる場合は店内飲食を断ることなどを掲示する。店内が混み合う場合は入店を制限。入り口や手洗い場所に手指用の消毒液などを用意する。
客席では、飛沫(ひまつ)感染予防のためにパーテーション(仕切り)で区切るか、できるだけ2メートル(最低1メートル)以上の間隔を空けて横並びで座れるよう工夫する。異なるグループの相席を避け、カウンター席も密着しないよう適度なスペースを空ける。卓上には原則として調味料や冷水ポットなどを置かず、食事中以外はマスク着用を呼びかける。
料理も大皿は避けて個々に提供。場合によっては、従業員が取り分けるなどの工夫をする。客同士の酌やグラス、ちょこの回し飲みは避けるよう掲示などで注意喚起する。
会計時に現金の受け渡しが発生するときは、手渡しでなくトレイなどを使う。
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<銀行>入店人数を制限、ATMに誘導
大手銀行などで構成する「全国銀行協会」は、顧客や従業員の感染防止と並行して、業務を継続するための考え方などをまとめている。預金の払い戻しや決済といった金融インフラとして業務の継続体制を構築するとともに、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者の資金繰りに支障が出ないよう取り組むとしている。
店舗運営では、顧客同士が十分な間隔を保つことができる入店可能人数の目安を算出した上で、入店できない顧客に対しては必要に応じて整理券の配布や予約制の導入などを柔軟に行うとした。とくに密閉、密集、密接の「3密」を避けるため、インターネットバンキングやATM(現金自動預払機)の利用を勧めることも重要としている。
各行で自主的に決定した店舗運営方針については、ネットや店頭ポスターなどで公表し顧客の協力を求めるとした。
<ホテル・旅館>客同士の接触回避、消毒を徹底
基本原則として、従業員と宿泊客、宿泊客同士の接触をできるだけ避け、2メートルを目安に対人距離を確保する。また、チェックイン・チェックアウト時には、間隔を空けた待ち位置の表示などで宿泊客同士の距離を保ったり、客室で手続きしたりする。フロントデスクと宿泊客に関しても距離を保つか、アクリル板や透明ビニールカーテンなどで遮蔽する。
ロビーやレストランなどの共用エリアでは、複数の人が使う物品や、手が触れる箇所を工夫して最低限にする。エレベーター内や押しボタンを頻繁に消毒するほか、重量センサーを調整し、少ない人数でブザーが鳴るようにして、過密状態になるのを防ぐ。
部屋の鍵については、生体認証やモバイル端末を活用したキーレスシステムを導入したり、返却された鍵やキーカードの消毒を徹底したりする。
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<映画館>席の前後左右に間隔、混雑回避
業界団体「全国興行生活衛生同業組合連合会」は、映画館は一定の空調設備の設置が義務付けられているために強制的な機械換気が可能な上、上映中は対面の会話が原則想定されないことを踏まえ、具体的な対策をまとめた。
スクリーン内は前後左右を空けた席配置といった十分な間隔を確保するほか、上映ごとにドアノブや手すりなどの消毒を徹底。幕あいには扉を開放して換気し、清掃時間も十分確保する。
チケット窓口や退場時に行列、混雑が想定される場合はできるだけ2メートル(最低1メートル)を目安に間隔を空けるよう来館者に促す。ロビーでも対面での飲食や会話を避けるよう求める。
チケットやグッズなどの販売ではキャッシュレス決済を推奨。来館者には事前に検温を依頼し、発熱やせきなどの症状があるときは来館を控えてもらう。
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