ハザードマップ

SECO2020/丸建自動車 路線バス事業者、初の新型コロナ倒産

 ▼SECO2020 SECO2020(旧カトーマロニエ)は5月12日、破産手続きを弁護士に一任した。

 1949年に創業したパン、洋菓子などの製造販売会社。「元祖生どら」「梨サブレ」などの人気商品を開発し、宮城県の土産品として広く浸透していた。大手コンビニエンスストアとの取引開始などで業容を拡大。一時期は直営店約10店舗を抱え、ピークの99年3月期には売上高約14億円を計上した。

 しかし、東日本大震災では設備が損壊し、営業面に支障を来たした。その後、遊休資産を売却、不採算店舗を閉鎖するなどして経営改善を進めたが、売り上げの回復には至らず2019年3月期は売上高約2億4000万円にとどまっていた。さらに、ここにきて新型コロナウイルスの影響で土産需要が大きく落ち込み採算性が悪化、債務負担も過大となっていた。

 このため、今年5月12日、カラベル(名古屋市東区)の子会社として新設したカトーマロニエ(宮城郡利府町)に事業を承継、現商号に変更したうえで法的手続きを進めることとした。

 ▼丸建自動車 丸建自動車は5月15日、さいたま地裁に民事再生法の適用を申請した。上尾市や北本市など「けんちゃんバス」の愛称で知られる路線バス会社。路線バスのほか、観光バスや福祉タクシーなどを手掛け、近年は売上高約3億円を上げていた。しかし、車両への投資負担などから借入金に依存した資金繰りが続き、2009年10月には社会保険事務所から差押登記が設定されるなど資金繰りが逼迫(ひっぱく)していた。

 経費削減などを進め、事業を継続していたが、ここにきて新型コロナウイルスの感染拡大により、観光バスや貸し切りバス、路線バスの需要が急減。私的整理も検討していたが、資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。路線バス事業者のコロナ関連倒産は全国初。

【会社概要】SECO2020

 ▽本社=宮城県宮城郡利府町

 ▽設立=1963年5月

 ▽資本金=7050万円

 ▽負債額=約4億8000万円

【会社概要】丸建自動車

 ▽本社=埼玉県上尾市

 ▽設立=1988年5月

 ▽資本金=1500万円

 ▽負債額=約5億円

 〈チェックポイント〉

 SECO2020は震災被害を受けて以降、業容を縮小していたところに新型コロナウイルスに見舞われた。事業はスポンサーのもと新会社で継続する。こうした第2会社方式での再建は、金融機関などの協力なくして成り立たない。地元で愛され、長年培ってきた実績を通じて企業価値が評価された結果ともいえるだろう。

 丸建自動車は新型コロナに伴う利用者の激減がとどめを刺した。住民の身近な足として親しまれたが、赤字経営で債務超過が続く中で限界に達した。再生手続きでは不採算事業は徹底的にカットされる可能性もある。だが、公共性の高い事業だけに、地域に根差した再建手法や支援策も必要ではないだろうか。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)