日本生産性本部上席研究員・柿岡明さん(57)
自分の価値高め生産性向上を
--新型コロナウイルスで就職後も在宅勤務を続けたいとする割合が6割超という調査が大きな反響を呼んだ
「在宅勤務やテレワークが一気に広がり、働き方や働く環境が大きく変わる中で、生産性の観点からどういった変化があるのかなどを調査した。特に興味を持っていたのが、新型コロナの感染リスクを最小化するために各企業が在宅勤務を取り入れたが、そのことで働く個人の会社に対する信頼感がどうなるかに興味があった。生産性の向上には労使の協力があることが大前提だからで、信頼感の在り方が重視されている」
--信頼感についての調査の結果は
「勤め先が『働く人の健康に十分配慮してくれているか』という設問に、『配慮不足を感じている』との回答が約3割だった。事前の予想では、もっと多い数値になると危惧していたが、雇用不安が思っていたより深刻ではなかった結果とみている」
--3割強は在宅勤務で効率が上がったとしている
「効率よりも、個人的には余暇と自己啓発の関係を気にしている。在宅勤務で浮いた時間ができ、それを業務に関連する書籍を読んだり、新聞を読んだり、資格取得に動き出すことなどが重要だ。自分の価値を高めることが生産性向上につながる」
--今後の調査の方向性は
「新型コロナ感染が長期化する中で、不況に陥ると企業としても雇用を維持するか、処遇を変えるかなどの難しい状況に直面し、雇用に手を付けるような動きになることが懸念される。ワークシェアリングといった話も再燃しかねない。そういった中では副業による対応などが課題になってくる。働く側も、こうした環境に対応できるように、たくましさを身につける必要があり、それらに関連したものが調査テーマになる」
【プロフィル】柿岡明
かきおか・あきら 中央大法卒。社団法人社会経済国民会議(現・公益財団法人日本生産性本部)入職。調査研究、社会人インターンシップ事業などに従事。愛知県出身。