フジテレビ商品研究所 これは優れモノ

キッコーマンの豆乳飲料で新風味「ソーダ/杏仁豆腐」

 新しい価値提案でさらなる市場開拓

 感染症の流行で、重症化を防ぐための健康な身体づくりが注目されている。食事・休養・運動の3つをバランスさせることが重要だが、特に身体を作る食事には気を配りたいもの。今回の「これは優れモノ」はおいしい健康飲料として市場が拡大している豆乳を取材した。

5月に新発売した「キッコーマン 豆乳飲料 ソーダ」(左)と「キッコーマン 豆乳飲料 杏仁豆腐」。内容量は各200ミリリットル。希望小売価格は90円(税別)
2019年に東京・表参道で実施したイベント。ビルを丸ごとラッピングして、豆乳アイスの試食を行った
豆乳の国内生産量の推移データ。9年連続で過去最高を更新している

 「9年連続過去最高売り上げを更新中です」と話すのは、豆乳製品では国内トップシェアを誇るキッコーマン飲料のチルド営業本部営業企画部企画グループ長の荻生(おぎう)康成さん(44)。

 1980年代にブーム

 大学では大豆に含まれるサポニンなどを研究テーマにしていた。以来およそ四半世紀にわたり、大豆や豆乳飲料の研究開発や製造、ブランディングなどに携わってきた豆乳のスペシャリストだ。

 豆乳は、豆腐を作るときに欠かせない材料。大豆のしぼり汁である豆乳に、にがりなどを加えて固めたものが豆腐だ。その製法は、中国唐王朝から奈良時代の日本に伝わった。僧侶の精進料理として食されていた豆腐はその後、13世紀の鎌倉時代末期には全国に広がったといわれている。

 一方で、豆腐の原材料となる豆乳はほとんど普及しなかった。大豆特有の青臭さやえぐみ、渋みといったものが敬遠されたと思われる。

 一部では、豆腐屋から分けてもらった豆乳を飲む習慣を持つ人もいたらしいが、1980年代のブームを迎えるまでは、ほとんど一般には認知されていなかった。最初のブームは、高度成長期のサラリーマンの健康意識の高まりによって広がった。

 血圧の上昇を防ぐとか、体脂肪を減らすことに作用するといわれ、多くのメーカーが製造に参入した。

 しかし、技術的に大豆の青臭さやえぐみを取り除くといった根本的な課題は取り残されていた。一時スポットライトを浴びた豆乳だったが、「豆乳は健康にはいいかもしれないが、まずいという印象が広がったのも事実です」と荻生さん。

 2000年代に入ると同社では、技術革新により、青臭さやえぐみというマイナスの要素を除去することに成功。体の必須要素のタンパク質を植物性の大豆から摂れるということで、再ブレーク。豆乳は、健康に良いというベースができていたことで、マスコミにも数多く取り上げられた。

 大豆に含まれるタンパク質やイソフラボン、サポニン、植物性脂肪などは、骨粗鬆(こつそしょう)症や乳がん、前立腺がんなどの予防効果があるとされる。このほか、脂肪が蓄積するのを防ぐダイエットや血圧の安定化、美肌効果などもあるといわれている。

 20代の若い層から支持

 豆乳と一口に言っても3つに区分される。大豆と水だけで作る「豆乳」は、大豆固形分が8%以上、「調製豆乳」は大豆固形分6%以上で砂糖や米油などを添加して飲みやすくしている。「豆乳飲料」は2~4%の大豆固形分に果汁やコーヒーなどで味をつけているものもある。

 同社は、単なる健康飲料ではなく、豆乳にしかない新しい価値提案でさらなる市場を開拓している。この5月にはソーダ風味の「豆乳飲料 ソーダ」「豆乳飲料 杏仁豆腐」を発売し、マーケットの拡大を図っている。

 「20代の若い層から多くの支持を受けています」とにっこり笑う荻生さんだった。

 ≪interview 担当者に聞く≫

 おいしさ追求、多様な味で若年層取り込み

 キッコーマン飲料チルド営業本部 営業企画部企画グループ長・荻生康成氏に聞く

 --豆乳人気の理由は

 1970~80年代の健康ブームを背景に豆乳が注目された。シンプルに大豆をもとに作られたものということで、多くの企業が参入した。大豆たんぱくの有効性などはともかく、味としてはおいしいとは言えないもので、長続きはしなかった。一過性のブームに終わらせるのではなく、牛乳同様に消費者の生活に寄り添う製品づくりを目指した。健康を意識する消費者ニーズに合致したからだと思う。

 --キッコーマン豆乳の強みとは

 技術開発で大豆の青臭さやえぐみなどを取り除き、まったく新しい飲料として若い世代に訴えた。牛乳とは違い植物性なので、脂質やコレステロールの摂取を抑えることができる。筋肉の基となるタンパク質も豊富で、20~30代の女性にも人気の商品になっている。消費者も体にいいからではなく、おいしいから飲むという意識に変化してきた。豆乳市場全体も2011年から9年連続で過去最高を更新しているほどだ。

 --市場拡大はどのように

 定番の無調整豆乳、調製豆乳などの他に、今回発売したソーダ味や杏仁豆腐味など、これまでにない味を市場投入してきた。現在、34の味をラインナップしている。10代の若年層への浸透を図る意味合いもある。また、豆乳を料理に使ったり、コーヒー・紅茶に入れたりなど利用のシーンも広がっている。定番商品を加えた当社製の豆乳類は、市場で5割強のシェアを占めるほどになった。

 --海外での豆乳人気などは

 中国、台湾、タイなどでは豆乳は人気だ。欧米では食文化の違いから、同じ植物性でもアーモンドミルクなどが好まれている。豆乳市場はまだ伸びしろがある。昨年の夏には豆乳の新しい食べ方を提案するイベントを実施したところ、長蛇の列ができるほどだった。一過性のブームに終わらせないように、あっと驚いてもらえるような商品づくりを目指していきたい。

 ■フジテレビ商品研究所

 「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「生活科学」「美容・健康・料理」「IPM(総合的有害生物管理)」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。

  http://www.fcg-r.co.jp/lab/