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旭川大のゼミが麺やスープ開発に汗 ラーメンの研究通じて経営学ぶ

 「山頭火」や「梅光軒」など全国区のラーメン店を生んだ北海道旭川市に、全国でも珍しいラーメン研究を通して経営学を学ぶ大学のゼミがある。学生が麺やスープを開発して地域のイベントに出店するなど活動の幅は広がり、街の活性化につながっているほか、学生自身が旭川の魅力を再発見する場にもなっている。

 ゼミが行われているのは旭川大学で、経済学部の江口尚文教授が担当、2~4年生の計11人が学ぶ。同市はしょうゆ味の「旭川ラーメン」で有名にもかかわらず、そのことを学生が知らないことに江口教授は着目。「ラーメンで経営学を実践的に学びながら、旭川の魅力に気づいてほしい」と2004年にゼミにラーメン研究を取り入れた。

 学生は毎年6月、旭川市近郊の上川町の老舗店に数日間修業に行き、チャーシューの煮込み方などラーメン作りの基礎を学ぶ。また、キャンパス内の調理実習室で麺やスープの開発に汗を流し、完成したラーメンは大学祭や地域のイベントで販売する。

 事前に販売数を予測して予算を決めたり、終了後には決算を行ったりしている。牛骨ラーメンを新開発した昨年は、9つのイベントで計3878杯(約200万円)を売り上げた。

 活動は年々拡大し、15年には市内と近郊のラーメン店100軒をまとめたガイド本を出版。16年からは高校生が地元ラーメン店とオリジナル商品を作り味を競う「ラーメン甲子園」の運営にも取り組み、開催される10月には市中心部の会場は多くの来場客でにぎわう。今年4月には東旭川農協(同市)と地元産小麦「ゆめちから」を100%使用した袋麺を開発した。

 活動は学生の地元愛を育む効果も生み、同市出身のゼミ生で4年の岩井柊弥さん(21)は「以前は東京で就職を考えていたが、ゼミを通じて旭川の魅力に気づき、地元で働きたいという気持ちが強まった」と話す。江口教授は「旭川では若者が減少している問題もある。ゼミ生には地域を支える人材になってほしい」と目を細めた。