ホテルニューアカオ withコロナで新たな滞在スタイル模索
赤尾宣長社長に聞く
相模灘の海辺に位置し、豊かな温泉などを楽しめる熱海を代表するリゾート、ホテルニューアカオ。赤尾宣長社長(35)は、withコロナ時代を視野に客室を別の形で活用できないか模索するなど、新たな滞在スタイルの提案に力が入る。(那須慎一)
--企業理念などは
「企業理念は『人の通りにくい道を進む』です。創業者の考え方として、『独自性・個性化を大事にしたい』という思いが込められています。ホテルニューアカオは熱海が団体旅行全盛だった昭和48年に、これからきっと個人客の時代が来ると見込み、家族旅行向けホテルとして開業しました。海の上に建つ建築、チェックイン朝8時、無料のお飲み物のおもてなしなど、お客さまに楽しめるサービスを展開しています」
--現在注力している事業内容や主なターゲットは
「当社はホテル以外にも敷地内に森に囲まれたさまざまな花の公園『ハーブ&ローズガーデン』を展開しており、活性化に力を入れています。3年前にはガーデン頂上付近に建築家・隈研吾氏に『コエダハウス』というカフェを設計していただき、その周辺にスタッフのアイデアで『空飛ぶブランコ』や『絶景ハンモック』といった遊具を設置しました。こうした取り組みで、ガーデンの来場者は3年間で倍増の30万人に増えました。海の景色を眺めながらゆったり過ごせる空間として、最近では特に若いお客さまにも喜んでいただいています」
--今に至るご苦労や思いは
「海の景観や温泉など、自然の恵みの中で事業運営をしていますが、一方で年々大規模化している自然災害と向き合うことが大変です。一昨年にはレストランが大きな台風被害を受けました。その際、スタッフの定期的な防災訓練のおかげで最小限の被害で済みました。今回のコロナ禍を含め、お客さまにはより安全・安心な滞在ができるように努力していきたいと思います」
--新たに取り組みたい事業や目標は
「ガーデン周辺に未開拓の森林エリアがあるので、アフターコロナも想定し、自然の中でリフレッシュし、人間性を回復できるような滞在プランを考えたいと思っています。今後3~5年内をめどに、例えばホテルとは別にグランピングやヴィラ棟の設置を検討するほか、森の中に屋外アートを展示して散策できるようにしたり、ハーブやレモンなどを栽培してホテルレストランで食べられるようにできたらいいなと思っています」
--withコロナの時代をどう捉え、どう対応されるか
「ホテル運営については、3密を避けて安全性を確保するために、今後客室稼働率を少し下げて運営せざるを得ないと思っています。使用しない客室が増えることから、例えばオフィススペースとして改装して、東京の企業を誘致するようなことも検討しています。テレワークが普及すれば、東京本社でなく、月に数回程度、東京近郊でミーティングすれば運営できるような企業も増える可能性があります。熱海は交通のアクセスも良いので可能性があるのではないかと思っています」
■会社概要
・所在地 熱海市熱海1993の250
・設立年月 昭和45年6月
・主な事業内容 リゾートホテル業
・従業員数 200人(令和2年7月現在)
・資本金 5千万円(同)
【プロフィル】あかお・のりなが
・生年月日 昭和60年1月9日
・出身地 熱海市
・最終学歴 東大大学院工学系研究科修了
・主な職歴 平成23年、ホテルニューアカオ入社、27年9月から現職
・趣味など 囲碁、ゴルフ