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5G整備にドコモは前倒しに慎重 KDDI・ソフトバンクはエリア重視

 総務省が第4世代(4G)移動通信システムで使われている周波数を「5G」に転用することを認める制度改正を近く行う。これを受け、KDDIとソフトバンクは5Gの基地局整備の大幅な前倒しを表明したが、ドコモは慎重な姿勢だ。周波数の転用では5G本来の性能が発揮できないこともあり、戦略の違いが鮮明になっている。

 周波数の転用は8月下旬から9月上旬をめどに解禁される予定。携帯会社は既存の4G基地局を5G基地局に置き換えたり、4Gと5Gの両方に対応した基地局を導入することなどができるようになり、「基地局設置の期間短縮やコスト削減につながる」(総務省)。

 また、5Gの周波数帯は電波が遠くまで飛びにくい特性があるが、電波が飛びやすい4Gの周波数帯を転用することによって、通信エリアを一気に広げられるメリットもある。

 一方で転用するだけでは、通信速度が4Gと同程度にとどまり、5G本来の特長である超高速大容量通信を実現できないデメリットがある。また、4Gで利用する周波数帯が減れば「4Gの通信速度が低下する可能性もある」とドコモの中南直樹技術企画担当部長は指摘する。

 KDDIとソフトバンクは来年度末までにそれぞれ5G基地局をそれぞれ5万局超に拡大する方針を打ち出したが、4G周波数の転用によるところが大きい。ドコモの同期間の計画は2万局にとどまる。当面、転用は推進せずに「新たな周波数帯で5Gを積極的に展開する」(中南氏)。5Gの超高速大容量通信を利用者に体感してもらうことにこだわる姿勢だ。

 ドコモは名ばかりの5Gを利用者が5Gと誤認してしまうことに懸念を示し、利用者に周波数の違いが分かるように周知すべきだとも主張する。一方、KDDIとソフトバンクは転用推進によって5Gエリアの広さをアピールし、活用事例を増やしていく考えだ。5Gの「速度」と「エリア」のいずれを重視するかで対応が割れた形だが、総務省担当者は「これらは5Gの両輪で兼ね備えたサービスの普及が期待される」と語る。(万福博之)