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キリンが日本初“糖質ゼロ”ビール 10月6日発売、健康志向で

 キリンビールは27日、主力ビール「一番搾り」ブランドから新商品「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を10月6日に発売すると発表した。ビール類の中では発泡酒や第3のビールには糖質ゼロの商品はあるが、ビールとしては日本初の糖質ゼロの商品という。コロナ禍で消費者の健康志向が高まる中、10月の酒税改定で減税となるビールに注目が集まる可能性もあり、キリンは新商品を投入して主力ブランド強化を図るねらいがある。

 ビールに含まれる糖質は原材料の麦芽に由来する。新商品は5年がかりの研究開発を通じて、麦芽やビール酵母の選定、発酵前工程などを見直した新製法を開発、発酵後のビール液中の糖質量は「ゼロ」表示ができる規定値(100ミリリットル当たり糖質0・5グラム未満)を満たしたという。家庭向けの缶商品(350ミリリットル、500ミリリットル)で展開、将来的には飲食店向けの展開も視野に入れる。

 27日開いた発表会でキリンビールの布施孝之社長は「酒税改正がビールの再成長の機会であることと、健康志向の大きな高まりという2つに対応した商品。ビールの中では第2の柱に育成する」と自信を見せる。年内の販売目標は120万ケース(大瓶20本換算)で、新商品の投入に伴い、「一番搾り」ブランドの缶の年間販売目標も前年比約1割増の1670万ケースへ上方修正した。布施氏は来年は「『糖質ゼロ』が一番搾りブランド全体の3分の1を獲得できれば」と話した。

 ビール類市場は新型コロナウイルス感染拡大で消費者意識が変わり、二極化が進む。生活防衛意識の中で健康志向が高まり、発泡酒や第3のビールで糖質をカットしたりゼロにした「オフ・ゼロ系」の商品が人気を集める一方、外出自粛の巣ごもりによる内食化で価格よりも味わいを重視し、ビール類の中では高価格帯となるビールの購入頻度が上がる人も増えた。10月の酒税改定ではビールは350ミリリットル缶で約7円の減税が実施されることから、ビールが買いやすくなると期待されている。