新プラン開始前に修正へ auとソフトバンク、戦略てこ入れも
NTTドコモが本体ブランドの大幅な携帯電話料金引き下げを表明したことを受け、格安ブランドでの新プラン導入を発表していたKDDI(au)とソフトバンクは開始前から修正を迫られる見通しだ。単なるプランの見直しにとどまらず、多様化する顧客のニーズに複数ブランドで対応するブランド戦略自体をてこ入れする可能性もある。
「市場に対して一定のインパクトはある」。KDDIの東海林崇副社長は9日の新サービス発表会で、ドコモが来年3月に導入する新料金プラン「ahamo(アハモ)」をこう評したが、対抗策の中身には言及しなかった。
本体ブランドでデータ通信料20ギガバイト、月額2980円の低価格を実現したアハモに対し「すごすぎる」「完全にドコモの独り勝ち」などと利用者のみならず、関係者からの評価もうなぎ上り。競合にとっての懸念はこのまま高評価が定着し、携帯市場がアハモ一色になってしまうことだろう。
KDDIとソフトバンクは格安ブランド「UQモバイル」と「ワイモバイル」で20ギガで月4000円前後の新プランを導入予定。総務省の求めに応じ、格安から本体ブランドに乗り換える際の煩雑な手続きや手数料をなくせば「ネット手続き特化のアハモより手厚い対応もできるので十分戦える」と強がる関係者もいる。
だが、それでもアハモが両社の新プランより1000円以上安く、シンプルで分かりやすい内容なのもまた事実。「料金チームは年内に何がしか打ち出せないかと慌ただしい」(関係者)と対抗策をひねり出し流れを変えようと必死だという。
もっとも、ドコモは月内に既存の大容量プランの値下げも発表する予定で、この全容が判明しなければ、身動きがとりにくいジレンマも抱える。ソフトバンクはワイモバイルの新プランを12月下旬に導入としているが、ドコモの動きを見極めるため「先送りになる可能性もある」(関係者)。
強すぎるアハモには、KDDIやソフトバンクの契約者数や1人当たりの利用料金の拡大を牽引(けんいん)してきた「マルチブランド戦略」を機能不全にするインパクトをはらむ。両社は本体ブランドを大容量プランとする一方、シンプルでお手頃価格の格安ブランドをグループ外への顧客流出抑止やドコモからの新規顧客獲得の受け皿とし、その中で大容量通信を求める顧客がいれば本体ブランドへの乗り換えを促してきた。こうしたサイクルが回らなくなれば、戦略の軌道修正が必要になる。(万福博之)