金融

製造業フル稼働、サービス業窮地…コロナ禍で二極化 非正規しわ寄せ

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に揺れた令和2年、日本経済は歴史に残る景気崩落に見舞われた。昨年春の緊急事態宣言発令に伴い4~6月期の国内総生産(GDP)が戦後最悪の落ち込みを記録した後、対面での接触を減らし感染拡大を防ぐ「新しい生活様式」のもと、企業活動の回復度合いは業種によって“二極化”した。年明けに宣言が再発令されるなど出口の見えない不安感はいまなお続いており、女性や非正規労働者といった立場が弱い人たちへのしわ寄せが一層強まっている。

 ■町工場「仕事量、それなりに…」

 「取引先となる大手電機メーカーの操業が再開して、いまのところ仕事量はそれなりにある状態だ」

 町工場が集まる東京都大田区で、精密部品の工場を営む男性はこう話す。昨年4、5月の緊急事態宣言下では、一時的に仕事がほとんどなくなる状況にまで追い込まれたが、その後の持ち直しで一息ついている。

 経済産業省が29日発表した令和2年の鉱工業生産指数速報は比較可能な平成25年以降では過去最低水準だが、四半期でみれば10~12月期は前期比6・2%上昇と2四半期連続で改善。輸出が堅調な自動車は「(今年)3月まで残業や休日出勤でフル稼働」(大分県の自動車関連企業)と明るい声が上がり、情報通信も第5世代(5G)移動通信システムの需要が拡大して回復基調に戻りつつある。

 ■飲食、観光…深刻な打撃

 一方、感染拡大で外出自粛や消費の低迷が長引き、人の移動と密接に関わる飲食や観光といった業種は深刻な打撃を受けた。総務省が29日発表した令和2年11月のサービス業の月間売上高は前年同月比7・5%減となり、コロナ禍が始まった2月以降、10カ月連続で前年水準を下回る。東京商工リサーチによると、昨年は飲食業の倒産(負債額1千万円以上)が前年比5・3%増の842件と年間の最多件数を更新した。

 こうしたサービス業は女性やパート・アルバイトなど非正規労働者が多く、昨春以降の急激な需要蒸発は雇用危機を招いた。総務省によると、非正規で働く人は令和2年平均で前年比75万人減少し、うち50万人を女性が占めた。男性労働者が多い製造業の影響が大きかった平成20年のリーマン・ショックとは対照的だ。

 年明けの宣言再発令を受け、非正規の雇用はますます厳しくなる。飲食店で働く人がつくる労働組合「飲食店ユニオン」(東京)が今月9、10日に行った無料電話相談では、バーで働く40代女性が「宣言の再発令で店が休業するが、休業補償は出ない。昨年からシフトを減らされ収入が半減していたのに…」と訴えた。

 完全失業率の上昇は今のところ小幅だ。有効求人倍率も求人数が求職者より多いことを示す1倍超を維持し、リーマン後の21年(平均0・47倍)と比べれば踏みとどまっている。ただ、雇い止めに遭わなくてもシフト削減などで実質的に働けない労働者は多く、「統計に表れている以上に雇用は悪化している」(ユニオン担当者)という。