嘘から出た実(まこと)と言うべきか-。エイプリルフールの1日、各企業が笑える嘘のネタを公式ツイッターに相次いで投稿する中、ある老舗バス会社が「エイプリルフールネタを実現させます」と発表した。その名も「ウソのようなホントのツアー!」。バスガイドが乗務する大型観光バスを独り占めできるという大胆な企画で、「冗談みたいな」価格設定にしたという。
乗車定員「1人」
「超鶏ガラ醤油バニラが新発売!?」。明治はエイプリルフールの1日、エッセルスーパーカップの公式ツイッターにこんな嘘ネタを投稿。スナック菓子「うまい棒」は「うまい穴、発売 長年の研究によりうまい棒の穴だけ抽出することに成功しました」と公式ツイッターにつづった。企業の広報担当者らが考えたであろう渾身のアイデアは、社会全体を重苦しい空気が覆うコロナ禍に、一服の清涼剤となる笑いをもたらしている。
1953年創業の名古屋市のバス会社「鯱バス」が考えたエイプリルフールネタは、55人乗りの大型観光バスの独り占めだった。同社バスツアーの企画担当、白澤晴夏さん(25)は「コロナ禍でツアーバス業界も打撃を受けており、お客さんがなかなか集まりません。1人なら絶対に『密』になりませんので、バスの『独り占め』を考えました」と明かす。
全長約12メートルの大型観光バスを1人で“占領”する。熱心なバスファンならいざ知らず、独り占めのニーズがそれほどあるとも思えないが、このエイプリルフールネタ、「どうせなら嘘ではなく、本当に実現してしまおう」と、正式なバスツアーとして実施することが決まったというのだ。
「やっぱり名古屋」の8万8758円
「嘘みたいなツアーを本当に発売していますよ、というツアーです。人数が少ないので感染の心配もありません。検温や消毒も徹底して行います」と白澤さん。ツアーは6月1日に実施される。午後1時にJR名古屋駅前を出発。国宝の犬山城(愛知県犬山市)や清洲城(清須市)、名古屋テレビ塔などを経て、午後8時に名古屋駅に戻るコースだ。
気になる“独り占め”料金は8万8758円。「やっぱり名古屋」の語呂合わせで「衝撃の値段」にしたという。車内にはハンドルを握る運転手と見どころを案内するバスガイド、そして乗客1人の計3人だけ。白澤さんは「いちばん前の席でも、いちばん後ろの席でもどこでもお好きな席に座ってください。ツアーでは都会の夜景も撮影できます」とアピールする。
カップルやグループでも“独り占め”できるが、最大4人まで。4人で利用した場合は1人当たり約2万2190円となる。ツアー開催日の6月1日に確保したバスは2、3台といい、「早い者勝ちで受け付けています」と白澤さん。知恵を絞って考えた“嘘”から出た“実”のバスツアー。めったに経験できない大型バスの独り占めを体験してみるのもよいかもしれない。