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孫正義氏、株主総会で“孫節”披露「ソフトバンクグループはAI情報革命の資本家だ」

 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は23日に開催した定時株主総会で、「人工知能(AI)を使った情報革命に注力したい」と述べ、同社や同社の傘下ファンドが進めている各国のAIベンチャー企業への投資を今後も続ける方針を強調した。一方で単なる投資会社ではなく、「ソフトバンクグループは、AI起業家とビジョンを共有して情報革命の未来を作る資本家だ」と“孫節”を披露した。

 孫氏は株主総会のプレゼンテーションで、同社がここ3、4年、事業会社ではなく投資会社の側面を強めていることに対して「事業家としての孫正義は好きだが、投資家としては好きではないとよく言われる」と自虐した上で、単なる投資家ではないことについて、19世紀の産業革命期に発明家に投資したロスチャイルド家に自らをなぞらえ、「産業革命の中心がロスチャイルド家だったのであれば、ソフトバンクグループは(現代の)AI情報革命の資本家だ」と自説を展開した。

 一方、株主から「自社株買い以外で株価が上がらない」との質問が出た際には「自社株買いばかり気にされるのは、創業者として悲しい」と苦笑。同社がここ最近投資事業の指標として強調している、保有株式価値から純負債を引いた時価純資産を意味する「NAV」についても、株主からは「強調しすぎる」と批判的な声が出たが、「資本家として一番重要なものさしだ」と改めて強調した。

 総会の終盤には、令和元年末で社外取締役を退任したファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏について言及。総会の冒頭で触れた「事業家としては好きだけど投資家としては好きじゃない」と言われたのは柳井氏だと明かした上で、「(柳井氏は)ユニクロの経営に専念したいということだったが、投資家としては好きじゃないというのが本音かもしれない」と寂しそうに話した。

 最後に「60代で引き継ぐ」という考えを示している後継者問題について株主から問われた孫氏は、80歳を超えた今も投資家として著名なウォーレン・バフェット氏を例示し、「69歳を過ぎても社長をやっているかもしれない。会長として経営に関わるかもしれない。後継者選びは最重要な仕事の一つだ」と述べた。