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公取委がデータ取り扱い方針で報告書、プラットフォーマーへの規制を強化

 公正取引委員会は25日、個人情報や企業が持つデータを市場取引するための方針を取りまとめた報告書を公表した。重要性が高まるデータを独占的に集める「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に対し、従来の独占禁止法を超えた、新たな規制の必要性を強調した。報告書は各省庁がデジタルデータに関する具体的な政策を立案する際の指針として活用する。 報告書では、データの生成や売買などの流通、利用方法などデータの取引に関する課題を一体的に整理。プラットフォーマーによるデータの独占や新規参入阻害の懸念を指摘した。

 現状では、プラットフォーマーのサービスが、独占禁止法が定める優越的地位の乱用などにあたるかどうかを事後的に審査し、規制をかけている。ただ、ビジネス環境を急激に変化させるプラットフォーマーには規制が追い付かず、プラットフォーマーのデータ独占に歯止めをかけられないのが実情だ。報告書はデータの取り扱いに関する禁止行為をあらかじめ類型化する「事前規制」の導入を検討するよう求めた。

 欧州連合(EU)の欧州委員会は巨大ITに対し、買収をEU側に届け出るなどの義務を課す法律を提案している。違反すれば、EU域内での業務停止や企業の分割などの罰則を受ける厳しい内容となっている。公取委は海外の対応と連動し、国内でもプラットフォーマーへの規制を強化する方針だ。

 一方、個人情報を適切に管理する仕組みとして、顧客からの同意を得た上で個人データを預かり、企業に提供する「情報銀行」のサービスなどを挙げた。個人に不利益をもたらさないようにする義務を負わせるルール整備の必要性なども盛り込んだ。一方で、技術革新を阻むことのないように政府の過度な介入は控えるべきだとした。