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ノバルティス元社員ら無罪確定へ 虚偽論文「広告ではない」

 製薬会社「ノバルティスファーマ」の降圧剤「ディオバン」をめぐる研究論文データ改竄(かいざん)事件で、薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(誇大広告)罪に問われた同社元社員、白橋伸雄被告(70)と法人としての同社について、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は、検察側の上告を棄却した。28日付。裁判官5人全員一致の意見で、無罪とした1、2審判決が確定する。

 事件では、ディオバンの販売促進のため、改竄した臨床データを研究者に提供し虚偽の論文を書かせて学術雑誌に掲載した行為が、薬事法が規制の対象としている「広告」に当たるかどうかが争われた。

 第1小法廷は、広告に当たるかどうかについては「受け取る側にどのようなものとして受け止められるかが重要で、内容、性質などに照らして客観的に判断するのが相当」と指摘。

 その上で、雑誌への掲載は専門家向けの研究報告という性質を備えており、顧客の購入意欲を誘う広告には当たらないとした1、2審の判断を支持。薬の販売促進のためにデータを意図的に改竄し研究者らを利用したとしても、雑誌への掲載は広告に当たらず、薬事法には違反しないと結論付けた。