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漬物のあま~い挑戦 発酵技術をスイーツに応用、販路開拓ねらう

 奈良漬バターサンドに漬物乳酸菌入りのチーズプリン-。京都の漬物店の発酵技術を応用したスイーツが若い女性を中心に話題を集めている。背景にあるのは全国的な漬物離れ。米の消費量の減少に伴い、白いご飯と相性のいい漬物も右肩下がりで消費量を減らしている。そうした中で、漬物店が新たな販路開拓をねらい、斬新な商品を次々に開発している。(田中幸美)

 見た目はレーズンサンドのようだが、食べるとほのかに酒の香り。なめらかなバタークリームには、シャキシャキとした漬物の歯応え-。和と洋の想定外のマッチングがSNSなどで評判を呼ぶ「奈良漬バターサンド」(6個入り、2376円)は5月の発売以降、月2~3回販売されると、即日売り切れとなる人気商品だ。開発、販売するのは、創業230余年の奈良漬の老舗「田中長(たなかちょう)奈良漬店」(京都市下京区)。定番商品であるウリの奈良漬を1センチ弱の角切りにしてバタークリームに混ぜ合わせ、クルミ入りのクッキー生地ではさみこんだ。

 奈良漬は酒かすやみりんかすなどを何度も取り換えながら野菜を漬け込み、2年かけて熟成させる高級品で、主な客層は中高年層。若い世代を取り込もうと、同店では10年前から菓子や乳製品と奈良漬の相性の良さに着目し、試作を重ねてきた。スタッフの田中万祐子さん(34)は「20~30代では奈良漬を知らない人が多い。伝統として残したいが、若い層は振り向いてくれないため、バターサンドを思いついた」と話す。

 独自の発酵技術をスイーツやパンの新商品に応用した漬物店もある。「京つけもの西利」(同区)は独自開発した乳酸発酵甘麹(あまこうじ)「AMACO(あまこう)」入りのチーズプリン(4個入り、1080円)や食パン(1本約2斤、1296円)、パウンドケーキ(1本、2160円)を販売している。

 あまこうは、米と麹で作った独自培養の甘麹を、京都の伝統漬物、すぐき漬に含まれるラブレ乳酸菌でさらに発酵させたもので、科学的に安定した漬物を作ろうと他社に先駆けて立ち上げた研究室が3年前、商品化にこぎつけた。

 西利の広報担当、長谷川洋子さん(39)はあまこう入りの食パンについて「焼き上がり後も熟成が進むので、日がたってもかたくならない。中はもちもちで、耳も柔らか。麹独特の甘い香りが漂い、焼いても甘みが際立つ」と語る。

 さらに西利は、あまこう入りの商品を集めたカフェを昨年8月、京都市内にオープン。スイーツやパンだけでなく、あまこうを水やジュースで割ったドリンクなども提供する。長谷川さんは「食生活の多様化で漬物を食べなくなった人に、健康を保つ一つのツールとして提案している」と開発の意図を説明する。

 「京つけもの もり」(京都市右京区)は、西京みそや和風だしをベースに漬け込んだオリーブを5年前から販売。「酒のさかなとしてもいいし、白飯にもあう」と話題を呼び、人気の京都土産となっている。

 食物繊維やビタミンを豊富に含み、機能性に富んだ健康食品ともいわれる漬物だが、最近は食卓に上る機会が減っている。総務省の家計調査によると1世帯当たりの年間の漬物購入額は、平成10年には1万2891円だったが、25年には約4割減の7929円に落ち込んだ。全国で漬物消費量、生産量ともに上位の京都も例外ではない。

 京都府漬物協同組合の森義治理事長(58)は「各漬物店はスイーツ屋を目指しているのではない。あくまで漬物店として、いろいろな食べ方の提案をして、漬物への入り口を増やしたいという工夫の表れだ」と説明する。新商品の数々が漬物復権の救世主となれるか、期待される。