日産自動車は25日、中国遼寧省大連市に新工場を建設すると発表した。2014年から生産を開始する。年間生産能力は15万台で、将来的には30万台に倍増する予定だ。世界最大市場の中国で生産体制を増強し、同市場で先行する欧米勢を猛追する。
新工場は、日産と中国の大手自動車メーカーとの合弁会社「東風汽車」が建設する。投資額は最大50億元(約625億円)で、日産ブランドの乗用車を生産する方針だ。
日産は15年までに中国での販売台数を200万台にする目標を掲げている。同社にとって初の中国東北部の拠点となる新工場は「中国市場での日産のコミットメント(約束)を再確認するもの」(日産の西川広人副社長)で、“空白”地域を埋めることで一層の販売上積みを図る足がかりとしたい考えだ。
日産はまた、合弁傘下の中国専用ブランド「ヴェヌーシア」の電気自動車(EV)を14年までに大連市政府に1000台提供することも合わせて発表した。
中国自動車市場では、独フォルクスワーゲン(VW)と米ゼネラル・モーターズ(GM)の2強に、韓国の現代自動車が3位で続く。日本勢トップの日産は現代を追い上げ、トップスリー入りを狙う。今後、襄陽(じょうよう)工場の年間生産能力を現在の13万台から25万台に増強。大連工場操業後は中国全体での生産能力を現行の120万台超から150万台超まで引き上げる青写真を描く。
中国自動車市場は足元で減速傾向にあるが、「中国は日産にとって最大の市場であり、今後も日産の成長にとって最も重要な原動力の一つであり続ける」(西川副社長)として、中国への積極投資を加速させる。