10月1日に地球温暖化対策税(環境税)が創設されるのを前に、ガソリンスタンド(給油所)の経営者が頭を抱えている。原油や石油製品に課される増税額は10月時点で1リットル当たり25銭となり、銭単位のコスト増をガソリンの小売価格に上乗せするのが難しいためだ。2014年4月からは消費税の2段階増税も行われる増税のダブルパンチとなる。ガソリン需要の低迷や激しい値下げ競争に悩まされる給油所の経営はさらに圧迫され、廃業が加速する恐れまで指摘されている。
「1円のほうがまし」
「たかが25銭でも、積もれば大きな金額になる。今のままではお客さんに請求できず、給油所が負担せざるを得ない」。東京都港区で給油所を経営する男性はため息をついた。給油所4軒とタンクローリーで販売する分も合わせ、男性の会社は環境税創設で月40万円程度の負担増になるという。従業員1人分の人件費が飛んでしまう計算だ。
給油所にガソリンを卸す元売り各社は請求書に税負担を上乗せすればいいが、問題は小売り段階の価格転嫁。日本の給油所は商習慣で、1リットル当たりの価格を消費税込みの整数で表示し、小数点以下は請求しないことが多い。25銭の負担増で1円価格を上げれば「便乗値上げだ」と非難されかねず、結局は給油所側が飲み込まざるを得ない。
事業者負担を軽減するため、増税を3段階に分けたのが裏目に出た。この経営者は「1円ずつ増税してくれたほうがまだ転嫁しやすかった」と漏らす。