大手ビール各社が海外シフトを強める中、キリンホールディングス(HD)が国内事業への回帰に経営のかじを切った。シンガポールの飲料大手フレイザー・アンド・ニーヴ(F&N)との資本関係を解消せざるを得ないような状況に陥るなど、海外事業の苦戦が背景にある。
年初に発足した中間持ち株会社の「キリン」が国内飲料3社を統括し、親会社のキリンHDが海外戦略に特化する体制に移行したが、国内需要が縮小する中でキリンが総合飲料メーカーの地歩を固めるのは容易ではない。
事業の枠超え
「この3年間はとにかく国内の飲料を集中的にやっていく」。中間持ち株会社のキリンとキリンビールの社長を兼務する磯崎功典氏は10日、2013年の事業方針説明会でこう強調した。
新たに発足したキリンはビール類のキリンビール、清涼飲料のキリンビバレッジ、ワインを主力とするメルシャンの飲料3社を傘下に置く。その狙いは「ヒト、モノ、カネの資源を事業の枠を超えて動かし、カテゴリーを横断した価値の提案を加速する」(キリンHDの三宅占二社長)ことにある。