【再挑戦】
タブーに挑んだ研究開発が実を結び、土木建設の「非常識」を常識に変えた技術がある。
海水や未洗浄の海砂を利用したコンクリートは、鉄筋の腐食を引き起こし、膨張により破断することなどから、土木業界では問題外とされてきた。ゼネコン大手、大林組の副社長、金井誠(66)はこの壁を打ち破り、高強度の「海水練り・海砂コンクリート」の開発に成功。
社内の冷ややかな目にさらされながらも陣頭指揮を執って実用化した技術は、海水が使えることから東日本大震災を機に護岸用ブロックなどにも用途が一気に拡大。今や「オール大林」で浸透を目指す目玉技術となった。
岩塩層の利点に着目
「ようやく、第一歩を踏めた」。2月12日、東京・品川の大林組本社27階の役員室で金井は、念願の技術に使えるめどが立ったことを心から喜んだ。