【視点】産経新聞経済本部編集委員・早坂礼子 国際リニアコライダーの誘致を (1/3ページ)

2013.7.16 05:00

 ■日本成長加速の起爆剤

 「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致候補地が今夏にも一本化される。候補地が決まったら、政府は早急に誘致へ向けた取り組みを強化すべきだ。ILCは日本の成長を加速させる可能性があるからだ。

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 ILCは地下約100メートルにトンネルを掘り、東京-横浜間に匹敵する全長約30キロの直線形の巨大加速器を建設。片方から電子を、もう片方から陽電子を入れてほぼ光の速さで衝突実験を行う。宇宙誕生(ビッグバン)直後の状態を再現し質量の起源とされる「ヒッグス粒子」の性質解明など宇宙誕生の謎を解く国際事業だ。

 世界各国の物理学者による技術設計は昨年12月に完了。2010年代後半の稼働に向けた次の焦点は建設地。米シカゴ、スイス・ジュネーブ、ロシア・ドゥブナのほか、日本から脊振(せふり)山地(福岡県・佐賀県)、北上山地(岩手県・宮城県)の5カ所が候補に上がっている。ただ10年間で約8000億円と試算される建設費の半額をホスト国が負担しなければならないため、誘致に積極的なのは現時点で日本だけだ。

 脊振も北上も花崗(かこう)岩の強固で安定した岩盤なため活断層はない。九州は空港へのアクセスの良さや大学・研究機関の集積などの受け入れ基盤の充実を売り込み、東北は東北経済連合会など地元経済界が震災からの復興のシンボルにとアピールする。建設に必要な人員は約6500人、完成後は約3000人の研究者とその家族が居住するため、東北は彼らが生み出す経済波及効果は建設から運用開始までの30年間で約4兆3000億円。運用が始まれば施設関連の職員など雇用創出効果は約25万人に膨らむと胸算用する。九州も、経済波及効果が建設時に1兆1000億円、運用時に年間600億円以上と試算している。

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