■借り主好みの住空間を創出
賃貸型のマンションや戸建て住宅の借り主が、好みに応じて間取りや内装材を変更できるようにする-。こうしたサービスを「スケルトン賃貸」と銘打って展開するのがシーアプランニング。2年前に起業した鵜飼美知恵社長は「今年に入って、マンションのオーナーなどから問い合わせが相次ぐようになった」と、新たなビジネスモデルの将来性に手応えをつかみ始めている。
◆原状回復を一部免除
スケルトン賃貸は、スケルトン(骨組み)と室内の内装などを分離した手法で建築された住戸を活用。入居者が退去時に室内を原状に回復する義務を内装の一部について免除し、壁へのくぎ打ちや内装の変更を可能にした上で貸し出す。
事業の第1弾が、東京都清瀬市の戸建て賃貸住宅「Tu・Zu・Ku(つづく)」。より効果的な資産運用を行うため、オーナーが駐車場にしていた土地を活用して2012年秋に建てた。木造2階建てで専有面積は約51平方メートル。1階は寝室とトイレ、バスルーム、2階は1LDKとコンパクトな造りだ。
最初の入居者は40代の男性公務員。2匹の犬を室内で飼うため、簡単にはがせて洗える「カーペットタイル」や、動物の爪研ぎから壁を保護する「表面クロス」などを要望に応じて施工した。
第2弾は、築30年で延べ床面積が70平方メートルの賃貸マンションの一室。60代の男性から「ホームシアターをじっくり楽しめる部屋に住みたい」という依頼が寄せられ、東京都渋谷区で希望に合う物件を発掘した。入居者のこだわりを反映させた空間に再生するため、大幅なリノベーション工事を現在進めている。
渋谷の物件は入居者がリノベーションに要する費用を全て負担するが、原則としてオーナーが支払うのはキッチンなど水回りのリフォーム代だけ。オーナー側は工事費を抑えることができるため、比較的早期に投資資金を回収できる仕組みだ。
◆DIY文化から影響
鵜飼さんは設計事務所で仕事の基礎を身に付けた後、約1年にわたってカナダにホームステイした。借り主の好みに応じた住空間を創出するというビジネスモデルは、そのときの経験がルーツとなっている。