「生コンがなければ復興は進まない。供給責任を果たしたい」と気仙沼地区生コンクリート協同組合の高野剛理事長は力を込める。三陸地方の道路や護岸・港湾などのインフラ復旧工事、さらに住宅建設などにセメントや生コンは欠かせない。 公共事業削減の余波
セメント業界に不安がないわけではない。需給の逼迫(ひっぱく)は、各社が生産能力を削減してきた裏返しでもあるからだ。
バブル崩壊以降、生産能力を徐々に抑えてきた国内各社は、08年秋のリーマン・ショックや「コンクリートから人へ」というスローガンの下で無駄な公共事業の削減を09年に打ち出した民主党の政策を受け、競うように削減のスピードを加速。1980年に計1億2635万トンあった生産能力は10年には半分以下の6147万トンとなり、さらに足元では5495万トンにまで絞り込まれた。