京都で代々続いた老舗のコメ屋の8代目が、2006年に設立した「八代目儀兵衛」。橋本隆志社長は「単にコメを売るだけの家業を、トータルプロデュースするビジネスに変えたかった」と動機を語る。そのために取り組むのが、コメギフトのネット販売やコメ料亭の運営、土鍋炊飯釜の製造・販売だ。「いずれもまだスタートしたばかりだが、日本伝統の食文化を担うコメの価値観を変える手助けをしたい」と意気軒高だ。
◆ギフト用ネット販売
家業の米穀店は、江戸時代の寛政年間から200年を超える歴史を持つ「橋本儀兵衛」だった。橋本社長が、その家業に“決別”した背景にあったのは、「日本人のコメ離れと、本当においしいコメづくりの衰退」だ。
日本人の食生活の変化に伴うコメ消費量の減少は価格競争を生み、旧来の米穀店は量販店の言う通りの値段で卸すしか商売が成り立たない。また、売るコメは産地や銘柄だけで判断され、本当においしいコメが知られていない。そんな不満や疑問を解消し、日本伝統のコメ文化をもう一度多くの人に伝えたい。
橋本社長が、自らの立ち位置を、コメ販売業からプロデューサー業へと転換した裏にはそうした強い思いがあった。