□味の素
■持続可能なビジネスで「隠された飢餓」対策
グローバル化が進む現代では、多くの日本企業が国際社会の一員として活動していくことを求められている。味の素が西アフリカのガーナ共和国で取り組む、持続可能な形で子供の栄養改善を目指す試みは、途上国の社会的な課題を解決するソーシャルビジネスの手法として注目されている。
◆「最初の1000日」が鍵
経済や行政基盤の整備が進まず、さまざまな課題が解決されないままの社会は、開発途上国には少なからず存在する。これらの地域では、人が生きるために欠かせない食糧も不足しがちだ。中でも、妊娠期から生後2年までの「最初の1000日」と呼ばれる時期の栄養不足は、乳幼児死亡率の高さや一生取り戻せない発育不良など、子供たちに深刻な悪影響を与えている。
現在、130を超える国や地域で製品を販売し、生産工場も17の国・地域で105カ所を展開する味の素にとって、開発途上国の子供たちが直面する栄養不良の問題は、見知らぬ遠い国の出来事ではない。まして、食品を扱う企業としては、無関心では済まされない課題だった。パキスタンなど5カ国で1995年から実施した、必須アミノ酸であるリジンの食事への添加による実証試験など、子供の栄養改善に関する調査研究に海外の大学と協力して取り組んできた。
武力紛争の影響下にある避難民など、国連や国際的な援助団体が主導する寄付型の支援に頼らざるを得ないケースはともかく、問題を抱えながらも一定レベルの経済基盤が整備された社会であれば、民間企業も参加する持続的な活動が可能なのではないか。「ガーナ栄養改善プロジェクト」は、味の素グループの創業100周年記念事業として2009年にスタートした。