少子化でお稽古事・習い事市場の縮小が避けられない中、スポーツ・運動関連の教室が活況だ。出版大手の学研ホールディングス(HD)が今春から未就学児対象の運動教室を本格展開するほか、フィットネスクラブや幼稚園などもプログラム強化を競う。2020年東京五輪の開催でスポーツ熱が高まったことや、子供の運動能力低下を背景に、教育熱心な保護者から支持を集めた。ただ、競争の過熱により指導者不足が表面化しており、早くも業界内で淘汰(とうた)が始まりそうだ。
多種多様な動き経験
「自分の運動神経が悪いので子供にも遺伝するのでは」
2月上旬、学研HD傘下の学研パブリッシング(東京都品川区)が東京都港区で開いた運動教室「リトルアスリートクラブ」の無料体験会。子供を参加させた母親は、同クラブの宮本光広代表にこう悩みを打ち明けた。宮本氏は「遺伝ではなく、全て経験によるもの。多種多様な動きを経験できる環境にあれば、運動神経を伸ばすことができる」と答えた。
同クラブでは、学研パブリッシングと全日本スキー連盟フィジカルコーチの遠山健太氏が共同開発した基本動作を重視して子供の運動神経を育む科学的プログラムを採用。約2年間の試行で、「特定のスポーツに集中するのではなく、バランスや跳ぶ、投げるなどの基本動作を身につけさせたい」と考える未就学児の保護者から支持を得て、事業化のめどがついた。大手塾運営会社や大規模商業施設などと提携し、15年には関東一円で10教室程度を開く予定だ。