東京電力は経営効率化を進め、27年3月期に5210億円の黒字を計上する見通しで、27年中は再値上げをしない方針だ。しかし、新潟地裁では柏崎刈羽原発(新潟県)の運転差し止め訴訟が続いており、泉田裕彦知事も再稼働に慎重な姿勢を崩さない。司法判断を受けて地域住民の反発が強まれば、原子力規制委員会の審査に合格しても再稼働できない恐れがある。
■安定供給は確保したが
原発を持つ電力9社は今夏の電力需給見通しで、原発の再稼働なしでも、需要に対する供給余力を示す予備率は3%を確保し、安定供給に最低限必要な電力を確保できるとした。
しかし、今夏の需給見通しは火力発電所の点検先送りや、他社からの電力融通などを前提とした数字だ。設備の酷使によるトラブルで発電所が停止すれば需給逼迫は避けられない。北海道電力は電力需要がピークとなる8月に8・7%の予備率を確保するが、苫東厚真4号機(出力70万キロワット)が1基停止しただけで、供給力が需要を下回ることになる。原発停止をこれ以上長引かせることは許されない。(宇野貴文)