国際石油開発帝石(INPEX)は27日、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の陸上油田の権益を5%取得する、と発表した。日量8万バレル程度の原油を調達できる権利を政府系石油会社から譲り受ける。取得額は明らかにしていないが、11億ドル(約1300億円)程度とみられる。契約期間は2015年から40年間。取得する権益で日本が輸入する原油の2%程度をまかなえ、エネルギーの安定供給につながる。
アブダビ首長国は、14年1月に権益の期限が切れた15の陸上油田(ADCO鉱区)について、権益の約40%を外国企業に開放する国際入札を実施していた。
これらの油田の生産量は合計で日量160万バレルと、経済産業省によるとサウジアラビアのガワール油田に次ぐ規模の巨大油田。さらに17年までに180万バレルに引き上げられる計画だ。
入札ではフランス大手石油会社のトタルも一部権益を取得した。その他、中国や韓国などの石油会社も参加している。
UAEは日本の原油輸入先で、サウジアラビアに次ぐ第2位。同日、安倍晋三首相は、INPEXの権益取得に関し、「日本の石油の安定供給確保に大きく貢献する。資源外交の大きな成果だ」とのコメントを発表した。
安倍首相は13年5月にアブダビ首長国を訪問し、14年2月にはムハンマド皇太子の来日の際に会談。同国が重点的に取り組む医療や教育、産業分野での協力強化などを提案し、資源外交を積極的に展開していた。
INPEXは、今回の権益は平成28年3月期の売上高を1300億円超押し上げる効果があるとしている。同社はUAEで複数の海上油田開発に参加しており、権益取得は「これらの実績が認められた」(藤井洋常務執行役員)としている。