不動産業界で横行する“囲い込み”と呼ばれる不適切な慣行をめぐり、是正に向けた取り組みが本格化する。囲い込みは、物件の売り主と買い主の双方から手数料を受け取るため、不動産会社が恣意(しい)的に物件の情報を隠して買い主を選ぶ行為。是正策では、売り出し物件に対する購入の打診などの情報を透明化することで、売買の成立を不当に遅らせる要因を取り除き、条件の良い買い主に速やかに売却できるようにする。自民党の中古住宅市場活性化小委員会が今月まとめる提言に盛り込む方針で、これを受けて国土交通省が制度化の検討を進める。
宅建業法で禁止
不動産会社は売り主から住宅などの売却を依頼された場合、自社で買い手を見つければ売り主、買い主の双方から手数料を受け取ることができる。
自社で買い手を見つける前に、仲介目的の別の不動産会社から問い合わせがあった場合、手数料の取り損ねを懸念して「既に別の買い手と交渉している」などと事実を隠すことは、売買成立の遅れなど売り主の不利益につながることもあり、宅地建物取引業法で禁じられている。