業界の実情を探るため、事情に精通する有志が匿名による独自調査を試みた。中小不動産会社を名乗って、大手や中堅の不動産会社に預かっている物件の紹介を電話で申し込み、紹介を拒否されたら、電話を一度切った後、今度は個人として「物件を買いたいので紹介してほしい」と申し込む方法だ。
昨年11月から今年2月にかけて605件について調べた結果、50件で囲い込みが確認できたという。業者を名乗って不動産会社に紹介を求めた際には「既に買い主による物件の内見が行われている」などと拒否された後、同じ会社に個人を名乗って紹介を申し込むとスムーズに紹介されたケースが多く、「こうした囲い込みが日常的に行われていたことが分かった」(有志の関係者)。
囲い込みは物件を数多く扱う業界大手に集中しており、調査した有志の一人は「『商談中』『成約済み』と担当者が断る答え方も非常に慣れており、行為が不動産会社の販売店全体で行われている印象だった」としている。調査は匿名で行ったものとはいえ、電話でのやりとりを全て録音し、文書化するなど事実の究明に迫る厳密な内容だ。