母親の視点を生かした品質管理プロジェクトを発表した日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長(左)ら=東京都新宿区【拡大】
業績不振のマクドナルドが再建計画を打ち出した。単純な地域ごとの経営戦略を改め、各国の実情に応じた営業に転換して経営を効率化。日本では安全管理に母親が参加するなど一見奇抜なアイデアも話題だが、「業績回復には不十分」(アナリスト)と市場の評価は芳しくない。さらに、マクドナルドを脅かす“刺客”が次々と日本に迫り、経営環境は厳しさを増している。
「ママ目線」に頼る
「ビジネスをリセットする。事態は急を要しており、私はためらわない」
5月4日に再建計画を発表したイースターブルック最高経営責任者(CEO)の言葉には、これまでにない危機感が漂っていた。
無理もない。それから4日後に発表された4月の世界の既存店売上高は前年同月より0・6%マイナスだった。微減とはいえ、前年実績割れは11カ月連続。とくにアジア太平洋・中東・アフリカ地域は、日本の販売不振が響いて、やはり11カ月の前年割れ。外食の雄として成長を続けてきたマクドナルドにとって、ほぼ1年も続く低空飛行は、もはや「非常事態」だ。