中小・ベンチャー企業の間で、訪日外国人客をターゲットとした新たな事業を展開する動きが活発化している。運送業のハーツ(東京都品川区)は、羽田空港に到着した団体客の手荷物を、まとめて都内の宿泊先などに格安で配達するサービスを開始。留学斡旋(あっせん)業のライフブリッジ(仙台市泉区)は中国語を使ったおもてなし研修サービスを始めた。今後も急速な伸びが見込まれるインバウンド需要を取り込み、新たな収益源に育てようと、幅広い業種で知恵の絞り合いとなっている。
昨年2月、関東地方を大雪が襲った日。運転手付きトラックを時間単位でレンタルする「レントラ便」を展開するハーツの山口裕詮社長が成田空港で荷物の引き受け作業を行っていた際、突然、ノルウェーからの観光客が泣きついてきた。その日は大雪で公共交通機関が大混乱。スキー板をはじめとした10人分の荷物を、何とか都内に運べないかという相談だった。
交渉の末、山口社長は引き受けた。この経験を通じ「空港に着いてからの運送サービスを十分に把握していない観光客が多い」ことを再認識。団体客の荷物を一括して運ぶ「東京ポーターサービス」を発案し、本格的に開始することを決めた。