【高論卓説】醜悪な老人の「跋扈」 リーダーはきれいな引退を (2/2ページ)

2015.8.24 06:16

 伊庭の「少壮と老成」に、老人は「(少壮者に)少し過失があると直ぐこれを押えつけて、老人自身が舞台に出る」とある。「青年の進路はこれがために塞がってしまう。実業界にてもこういう例はいたるところに見受ける」との指摘は、今もそのまま通用する。

 経営トップを譲り、相談役などになって第一線を退いても、会社が心配になるものらしい。本人は善意でくちばしをはさみ、それが老害になるのだから始末が悪い。元首相の方々も悪意はないのだろう。しかし「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉がある。

 リーダーはやはり、きれいな引退を心がけるべきである。

 今や社会的インフラといえる宅配便をつくりだした小倉昌男氏(故人)は、ヤマト運輸(現ヤマトホールディングス)の会長を75歳で辞すと、会社から完全に離れた。以後、自ら設立したヤマト福祉財団の理事長として、障害者福祉に尽力したのは、よく知られている。

 実は小倉氏は会長を2度やった。業績が下向いた会社のタガを締めなおすために2年限定で会長を再度務めて退いたのである。引退しても、会社は気遣って業績の説明に担当者をよこした。小倉氏は「私は関係ないから、もう来なくていいよ」と、話を聞かずに帰したそうだ。

 小倉氏はさすがだが、優れたリーダーでも、人間だから出処進退を誤る場合がある。

 しかし現役時代にたいした功績もないのに、跋扈する老人たちは単に醜悪なだけで度し難い。

                   ◇

【プロフィル】森一夫

 もり・かずお ジャーナリスト 早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は「日本の経営」(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。65歳。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。