CISは、銅(Cu)とインジウム(In)、セレン(Se)の3元素の頭文字を並べたものだ。CIS電池は、その薄い膜をガラス基板上に形成することで光を吸収している。
シリコン系の変換効率は限界値に近づいており、今後も伸びる余地が少ない。これに対し、CIS系は発展途上の存在だ。20年前は16%にすぎなかったのが、20%を超え、その後も21.7%まで上昇しているという。
厚木リサーチセンター(神奈川県厚木市)で開発の指揮を執る白間英樹技術開発部長は「3年後には単結晶シリコンを超えたい。そうなれば世界が一変する」と意欲を示す。
しかも、CIS電池は実際に設置した際の「実発電量」が多い特性がある。太陽が高く昇らない冬場でも性能が落ちにくく、夏場の高温にも強い。シリコン系はパネルの一部に影がさすだけで全体の性能が低下するが、影の部分しか影響を受けない。
興味深いのは、「光照射効果」と呼ぶ現象により、太陽光が当たると工場出荷時を上回る出力が得られる点だ。
一方で同社は、コスト削減も追求。膜の厚さを1マイクロメートル程度とごく薄くし、材料費を抑えている。技術開発を担当する杉本広紀課長は「製造工程もシンプル。中国メーカーのシリコン系と互角以上に戦える」と強調する。経済性に優れ、実発電量が多い上に変換効率でも負けないとなれば、かなり優位性は増す。
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