■新機種開発 業界のスタンダードに
1975年、ゲーム機メーカーとして産声を上げ、78年にアレンジボールとじゃん球の製造で遊技機市場に参入したサミー。82年にはパチスロ第1弾をリリースし、89年に大ヒット機種「アラジン」を世に送り出した。さらに、92年にはパチンコメーカーとしても名乗りを上げ、いまでは両市場ともに根強いファンの支持を獲得している。
サミーといえば、遊技機開発において、その新規性が頭に浮かぶ。「新しいことはサミーから」を合言葉に開発される機種の数々では、業界初を冠するものも少なくない。いや、サミーがすごいゆえんは単なる“初”にとどまらず、リリースした新機能のほとんどが、その後の市場のスタンダードになっている点だ。
◆液晶搭載のパチスロ投入
分かりやすい例を挙げると、パチスロの液晶演出。これは99年12月、ちょうど同社が株式の店頭公開をした年の終わりにリリースした「ゲゲゲの鬼太郎」が、業界初の液晶搭載パチスロとなる。
現在、市場で見かけるパチスロの大半に液晶画面が搭載されているが、当時は「パチスロはリールの動きを楽しむゲーム」という認識が主流。パチンコのように液晶演出がパチスロにマッチするのか、疑問視する声も聞かれた。だが、同機種は市場に受け入れられ、他メーカーもこれに追随。液晶の搭載によりパチスロそのもののゲーム性も広がった。
東京証券取引所の市場第1部に株式上場を果たした2001年には、“サバチャン”のキャッチフレーズで大ブレークしたAT機(アシストタイム搭載機)「獣王」をリリース。03年には人気コミック「北斗の拳」とのタイアップパチスロを市場に投入し、1機種当たりのパチスロ販売台数で歴代最多となる60万台を突破した。一世を風靡(ふうび)した「アラジン」「獣王」「北斗の拳」は共に同社のフラッグシップタイトルに成長。新たなテクノロジーやファンニーズを反映させながら、シリーズを重ねている。