食道再生上皮細胞シートの開発状況について説明するセルシードの橋本せつ子社長=4日、東京都港区のスウェーデン大使館【拡大】
バイオベンチャーのセルシードは4日、東京女子医科大学と共同で開発を進めていた食道がん治療向け「食道再生上皮細胞シート」の治験届を3日付で医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出したと発表した。2016年から2年間、臨床試験を行い、17年末のPMDAの承認申請を経て、早ければ19年にも発売する見通しだ。
頬の裏にある口腔(こうくう)内の粘膜を採取し、それを独自開発の温度応答性培養皿で培養して細胞シートを約2週間で作製する。培養の技術は、同大の岡野光夫教授が発明した成果を活用した。
培養した細胞シートを食道内のがん細胞を切除した場所に張り付け、傷跡を早期に治癒させる。食道がんの手術ではここ数年、内視鏡で食道の表面を切除するケースが増えている。ただ傷の治りが悪く、食道狭窄に陥りやすいなどの課題を抱える。治験では傷の治りやすさ、狭窄の防止効果などを調べる。
食道がん患者は国内に2万人いるが、毎年1万人が命を落とすとされ、男性の罹患率が女性の5倍に達する。