コーポレートガバナンスの仕組みを活用した企業の変革は、今年から本格実践の段階に突入する。ガバナンス表彰は、その具体的な成功例に学び、日本の企業社会が運用の神髄を共有できるようにするための施策だ。大賞・入賞企業の選考にあたった日本取締役協会の視線はどこに注がれたのか。最前線を行く大賞・入賞企業のガバナンス経営とはどんなものなのか。今回の審査委員を務め、表彰式で「コーポレートガバナンス改革の総括と今後の課題」と題する特別講演にも臨んだ伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長の話も交えつつ、コーポレートガバナンスを考える。
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最近、企業の不祥事などが起きると「ガバナンスが機能していなかった」という説明がよくなされる。
コーポレートガバナンスには、コンプライアンス(法令順守)を徹底し、企業倫理を高めていくことが主たる役割のように感じているビジネスマンも少なくない。確かにそういう面もあるし、そういうところをルーツに発展してきた考え方でもある。が、今求められているのはそこではない。