地方創生を語る上で重要な鍵となるのが「オープン・イノベーション」。企業内部と外部のアイデアや機能などを有機的につなぎ合わせて、価値を創造する取り組みだ。私はこれを、「機能」「技術」「人」の3つに分類して考えている。
まず、「機能のオープン・イノベーション」について。大手企業の新規事業開発担当者が、合弁会社やコーポレートベンチャーキャピタル、アクセラレータプログラムなど、外部からアイデアの取り込みや連携を強化するために部署や機能を創設することが盛んに行われてきた。最近ではハッカソン/アイデアソンなどのイベントも盛んに開催されている。
また、「技術のオープン・イノベーション」でも、産学連携を含め自社と外部の技術を融合させ、新たな可能性を見いだす取り組みも進んでいる。昨今のIoT(Internet of Things)関連で進められている技術開発も、これを最大限に活用したものだ。
そんな中で、私たちがより注視しないといけないのは「人のオープン・イノベーション」。外部のプロ人材の経験・知見を、従来の雇用という方法以外で、いかにして社内に取り込むか。特に中小企業においては、外部から経営資源を確保することができ、それまで社内に眠っていた「隠れた知見」を引き出すことにもつながる。
世界に目を向けると、人のオープン・イノベーションに関する日米の差は明らかだ。日本では、自社の人材を重要な経営資源として位置づけし、その活用を第一に考える。もちろんそれは世界共通の考え方だが、日本の経営者の場合は、これが行き過ぎてしまうきらいがあるのだ。「自社の経営資源で対応できるはず」と、社内人材の有効活用ばかり考えている。