在庫を増やすとそれをさばくためにどうしても値下げが増える。その結果、値下げのために販売奨励金を積み増せば、収益悪化という悪循環を招きかねない。このため、まず在庫の調整を急ぎ「ディーラーの在庫が少し足りないくらいになれば、生産も元に戻す」(吉永社長)方針だという。
米国の自動車市場はガソリン安でスポーツ用多目的車(SUV)やピックアップトラックが好調な半面、乗用車は苦戦しており、吉永社長も「全体需要はピークアウトした」と話す。
市場の減速影響で足元は値下げ競争が激化しており、自動車各社は軒並み販売奨励金を増額している。その額は1台当たり平均で3400ドル近くに膨らんでいるが、その中でも富士重工は1300ドルと業界平均の3分の1程度に抑えられるとみる。
主力の「インプレッサ」の新型車を投入するほか、SUV「フォレスター」や「アウトバック」などの既存車種は納車待ちとなるほど人気のためだ。
需給バランスの関係で、品薄になれば、当然、価格は高く保てる。富士重工は今年度の北米販売を71万4000台と前年度比13.3%増やす計画だが、吉永社長は「若干、品薄くらいの状態を維持して、台数当たりの競争力を保つ」と、収益力にこだわる姿勢を示す。