インタビューに応じる三越伊勢丹HDの大西洋社長=10日、東京都新宿区【拡大】
三越伊勢丹ホールディングス(HD)が国内の百貨店全体の売り場面積を2~3割縮小する方向で検討していることが10日、分かった。地方で人口減が見込まれているほか、消費者の節約志向で業績が悪化しているためだ。縮小する売り場は、従来の物販から体験型の「コト」消費関連のサービス事業に転換する。年内にも構造改革に踏み切り、生き残りを図る。
三越伊勢丹HDの大西洋社長が10日、フジサンケイビジネスアイの取材で明かした。
大西社長は「百貨店全体の売上高は6兆円を切り、売り場面積は、業界全体で現在の半分でもおかしくない」と述べ、2~3割の縮小は避けられないとの見方を示した。さらに「このまま人口が減れば、損益分岐点を下げるしかない。今のビジネスモデルを変えないと生き残れない。非常に厳しい」と危機感をあらわにした。
三越伊勢丹HDはインバウンド(訪日外国人)による「爆買い」の終息や衣料品や宝飾品の販売が振るわず、業績が悪化している。昨秋には2018年度の営業利益500億円の目標について2年先送りを発表した。
今春にも構造改革を含めた中期経営計画を発表する予定で、運営が厳しい地方や郊外店舗の売り場面積の縮小を柱に据える。縮小する売り場は美や健康、アートなどを切り口としたコト消費関連のサービスに転換する。百貨店大手が家具大手のニトリを店舗に誘致する動きが相次いでいるが、「大型店へのテナント貸しは考えていない」(大西社長)と語った。