【高論卓説】五輪目指す若者を支える 国民の善意届いた「東京1964」に倣え (1/2ページ)

2017.2.1 05:00

 薄手のダウンジャケットを羽織った姿は、道を行く若者のように気取らない。優しい語り口が職業をほうふつとさせる。川田貴章さん(33)は東京大学医学部を卒業して、東大病院腎臓・内分泌内科の医局で専門医になる道を進んでいた。

 2016年春、川田さんは医局を休職して、20年東京五輪のヨットのマルチ・ハル級(双胴)の日本代表を目指すことを決意した。小学校時代から地元のヨットクラブで学び、大学のクラブで本格的な活動に入って、470級(艇の長さ470センチ)で08年北京五輪を目指した。願いはかなわずいったんは医師の道に戻ったが、20年東京五輪は再び夢をよみがえらせた。

 マルチ・ハル級は16年リオデジャネイロ五輪で採用された男女混合の新種目。双胴で波を切るようにして進む、高速の戦いである。チームを組むのは、梶本和歌子さん(33)。ロンドン大会の出場経験がある。470級では世界ランキング1位になったことも。「彼女となら東京五輪に行けそうだ」という。

 川田さんはいま、スポンサーになってくれそうな企業を訪問している。豪州のメーカーで建造中の新艇は約450万円。高速で走行するので、部材の損傷が激しい。初航海でマストが折れることもあるという。1本約100万円。世界各地の競技会を転戦する費用もいる。

 また、生活費を稼がねばならず、医師のアルバイト・サイトで応募して、病院の夜勤や外来の勤務をこなしている。「練習があるので、あまりバイトを入れるわけにもいきません。預金通帳の残高が1万円を切ることもあります」と苦笑する。

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