--だからこそ、“攻めのガバナンス”にフォーカスした日本式のコーポレートガバナンスが必要になりますね
「米国の経営者は、鼻先にニンジンがぶら下がっていれば走ります。でも、日本の経営者は動かないわけです。しかも、日本ではぶら下げるニンジンも小さいですからね(笑)」
「成長戦略の中にガバナンス改革が盛り込まれたのは、“攻めのガバナンス”を生かした企業業績の向上を目指しているからです。ただ、実際に整備されたのは、さらにブレーキ性能を磨き上げたコーポレートガバナンスでした。ですので、日本取締役協会は中長期的に企業を成長させていく“攻めのガバナンス”について、もっとプロモートしていかないといけないでしょうね」
--では、“攻めのガバナンス”強化をどうなし得るか。これが先ほどもお話のあった経営者の意欲であると
「いまの日本の経営者は、取り巻く経済状態を考えると守りに強い人が多い。これでは、ニンジンをぶら下げても動かないでしょう。ではどうするか。交代するときに、ぜひとも次は攻める人にしてほしい、ということになります。その動きを、社外取締役がリードしていけたらいいのではないでしょうか。積極的に攻めていく経営者が求められています。いいかえれば、イノベーションを起こせる経営者を探すべきです。幸い、ガバナンスは磨き上げたブレーキを搭載しており、暴走してもしっかり止まりますから(笑)」