ゆうちょ銀行が個人向けの無担保融資業務の参入に向けて、31日に金融庁と総務省に認可申請することが29日分かった。自分の口座から現金を引き出す際や自動引き落としの際、残高が不足した場合に最大50万円まで借り入れることが可能になる。金利は14%程度を想定しており、4月末にも両省庁から認可を受けた上で、2019年に事業を始めるため、システム整備などの準備を進める。
ゆうちょ銀は12年にカードローンや住宅ローンなどの個人向け融資や企業向け融資など3件の新規事業の認可申請をしたが、無担保融資の新規申請に合わせて、全て取り下げる。日銀のマイナス金利政策導入後、厳しい運用環境が続く中、比較的利ざやが稼げる個人向け無担保融資で収益確保を狙うが、システム整備などで、黒字化までは6年程度かかる見通しだ。
ゆうちょ銀が新規申請するのは「口座貸越サービス」と呼ばれ、カードローンなどと同様の無担保の個人向け融資だが、カードローンが専用口座から借り入れるのに対し、同サービスは、毎月の水道料金などが引き落とされる総合口座から借り入れるため、必要最小限の借入額ですむように配慮している。引き落としの残高不足時以外に、現金の借り入れもできる。
ゆうちょ銀も当初は、各行が事業を拡充しているカードローンへの参入を検討してきたが、金融庁がカードローンで返済能力を超える過剰な融資が行われていることを問題視していることもあり、取りやめた。
一方、ゆうちょ銀は、国債運用の比率を下げて外債などリスク性資産の運用を増やしていることに関連して、企業の破綻や債務不履行に備える金融派生商品の「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」などを運用先に加えることも認可申請する。