サイバーダインのロボットスーツ「HAL作業支援用」を着用して作業する全日本空輸の従業員=千葉県成田市【拡大】
物流や外食業界を中心に人手不足が深刻さを増すなか、ロボットベンチャーが労働環境の改善に貢献している。導入が進むのは、体力勝負が求められるため、従業員の定着率が決して高くない職場。ロボットの活用によって人件費などの固定費圧縮だけでなく、作業環境も改善し、人材確保に役立ちそうだ。
ハルで荷物を搬出入
全日本空輸は昨年11月から、筑波大学発のロボットベンチャー、サイバーダインのロボットスーツ「HAL(ハル)作業支援用」を使って、成田空港で作業環境改善の可能性を調べるための実証実験を行っている。
荷物の搬出入を伴う作業は中腰や前屈みなど体への負担が大きく、腰痛になりやすいことから予防策が模索されていた。ハルを装着することによって腰への負荷を減らし、労働環境の改善や労働災害を防ぐことが目的だ。
手荷物をコンテナに出し入れする荷さばき場で、ハルを身に付けてスーツケースの積み込み作業を行っていた女性従業員(31)によると、「腰を後ろから支えられているようで、荷物が軽くなったように感じる」という効果があるそうだ。